センサーが三種類の信号を発信
第一号の電気ポットが利用者宅に設置されたのは九七年六月一八日。それからほぼ二年余り。今ではこの町に住む二八人の高齢者が、電気ポットや炊飯ジャーにつなげられた安否確認システムに守られて暮らしている。
このシステム、いったいどのような仕組みになっているのだろうか。網野さんはこんなふうに説明してくれた。
「ひとことで言えば、生活センサーを利用した安否の確認です。この場合、センサーは電気ポットと炊飯ジャーで、お湯を出したりご飯を炊くとスイッチオンの信号が発信され、その信号で『元気でいるな』と知ることができるというものなんです」
高齢者の安否を確認する生活センサーといえばトイレや居室に取り付けて人の動きの有無で安否を確認するものが一般的。しかしこれだと「監視されている」という心理的な抵抗感も同時に生まれる。毎日の生活の中で、こうした余分な気障りを与えずに安否確認できる方法はないか? そこからひらめいたのが、高齢者に最も身近なポットとジャーを使うことだった。
まずポットとジャーに信号を発信する手作りの電気回路を組み込んだ。これらを電源につなぐと「電源投入」信号が、そのまま接続していると二時間ごとに「接続」信号が自動的に発生する。