日本の長寿は誇りにならない。
パンク寸前の国民医療費
堀田 今日は私、インタビュアーに徹するつもりで伺いました(笑)。ぜひいろいろとメッセージを頂戴できればと思います。
日野原 いやいや(笑)。私でお役に立てることならば喜んで。
堀田 早速ですが、少子高齢化が進み、医療制度改革がさまざまに議論されています。今の現状をどうご覧になりますか?
日野原 私は非常に強い危機感を持ってますよ。日本の国民の総医療費は今では二九兆円、これがあと十年余りすると推計で七七兆円にもなるといわれています。。そして六五歳以上はもちろん、七五歳以上の老人人口が増える世界一の老人国になる。ただし不健康な状態での長生きというのが深刻な問題で、近いうちに日本の健康保険制度が破産状態になるのは間違いないんです。だからこそ画期的に医療制度を変えていかないと大変なことになりますよ。
堀田 政府筋、あるいは自民党辺りから医療費をGDP(国内総生産)の何割以内に抑えるようにしようとか、お金の観点から枠をはめる動きもありますが。
日野原 私は医療費自体はもう少し高くてもいいと思っているんです。あるいは今の二九兆円が三○兆、三二〜三三兆で止まったらそれで上出来だと思うけれども、その配分の仕方が間違ってるんですね。
堀田 非常に偏った無駄な配分をしてますよね。
日野原 病気を早期に発見して治療するという成人病対策が起こったのが昭和三二年ですが、当時はね、老人がまだこれほど多くなかったからそれでよかったけれども、もう無理なんです。