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ここからが、他のグループと違うのです。紹介者のHさんに、Mさんの夕食を運んでくれる近隣の人を探してもらったら、四名が協力を申し出る。『たすけあい』からは会員一人と、責任者として理事が加わり、計六人がかかわることに。土・日は父子で食事作りの「努力」をすることも。

ケースの性格上、長期戦になったようですが、近隣の支援の輪ができたことは、ご主人にとっては何よりも心強かったようです。父子家庭になると、これまで母親が築いてきた近所との付き合いが途切れて孤立してしまうのが通例ですが、グループの動き方次第ではそれを「修復」することもできるのです。

清水さんの言う「地域づくり」とはそういう行動を指すのでした。活動グループは「自分たちでサービスをしてあげる」という意気込みが強すぎて、その活動のもっと先にある目的が何なのかを考えなくなってしまう危険があります。要は対象者の近隣で自主的に助け合えれば、それに越したことはないのでしょう。

ところが、それが当事者たちだけではなかなか実現しない。そのとき活動グループが外から仲介することで、少なくとも一歩は前進することが彼女らの実践で立証されているのです。グループの目的は近隣で助け合える地域をつくるお手伝いなのだというわけです。

現にこのグループでは、活動の際に常にこのことを意識し、対象者の近隣の人たちの手助けを得るように努めているそうで、しかも彼らにまず準会員になってもらい、やがて正会員になっていくのだとも。

 

近隣型助け合いとは…?

 

お互いの顔が見え、生活の内情がわかりあっている近隣の住民同士が、お互いの心を大切にしながら、日常生活の営みの中で、『自然流』に身の回りのお世話や家事、介護、食事づくりなど生活するために必要なことを互いに支え合い、助け合うことをいいます。

 

 

 

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