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シンポジウムのパネルで発言する今井澄さん。

 

社会保険制度には欠点もあります。保険料を払わない人が必ずいる。無保険者の問題が出てくる。しかし、あえて保険に踏み切ったのは、医療保険の前例があるからです。医療保険がない時代には、お医者さんが安心して開業することができなかった。ところが保険制度ができたために、貧乏な患者さんからお金を取らなくても、保険から治療費の七割は下りる。そこで開業できるようになったんですね。

開業して成功すると有床診療所にし、医者や職員を雇って病院にする。さらに成功すると大病院になっていき医科大学まで創る。質はともかく(笑)余程のへき地、離島に行かない限り、医者にかかるのは困らないようになりました。ただし、そうなるまでは「保険あって医療なし」という状態があったことは事実です。保険に入れ、入れと勧めた市町村長が石を投げられたこともあったようですね。私の勤めていた諏訪中央病院もそうなんですが、市町村長さんたちが必死になって村に診療所を作り、病院を建て、お医者さんを引っ張ってきた。そしてお医者さんたちもだんだん開業していくようになった。こうして「保険あっても医療なし」という状態が解消され、いつの間にか今のような過剰過剰という事態にまでなってしまったのです。

 

介護保険によってどれだけ介護ニーズが賄えそうですか?

 

来年の四月一日に発足するときに、施設サービスは一〇〇%ニーズを満たせる計算ですが、在宅サービスに関しては四〇%しか満たせない。当面は家族介護にある程度依存しながら、スタートしようというわけです。

 

 

 

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