六万人を超える介護ニーズを一人ひとり審査、認定し、ケアプランをまとめ、必要なサービスを供給する体制を数か月でつくる―史上最大の作戦の火ぶたはすでに切られた。横浜市はこの春の人事異動で職員総数を六二人削ったが介護保険要員は別扱い。一八の区役所すべてに担当の課長と係長を配置するなど介護保険準備要員を二一五人増強した。
要介護認定は一〇月からスタートする。
介護サービスが欲しいという高齢者たちから実際に申請を受けて、どの程度の介護が必要かを認定する介護認定審査会の規模も日本最大になるだけに中小都市とは異なる分散処理体制で臨む。市内一八区の各区に審査のための合議体をそれぞれ四つから一〇設けて要介護認定の申請を受け付ける。合議体の数は合わせて一二八。医師、看護婦、福祉施設の代表者らからなる委員の総数は七三〇人に達する。各合議体の委員は五人から成り、交代で隔週開催し、それぞれの合議体が下す審査の結論を委員会の正式判定と見なす仕組みだ。
グループホームも全国に先駆げて制度化
巨大都市ならではの膨大な介護ニーズを地域最前線で受け止める役割を担う地域ケアプラザについては、現在の五二か所を介護保険が実施される二〇〇〇年四月までに七六か所に増やし、二〇一〇年までに中学校区に一つずつ整備する。それは一九九四年策定の「ゆめはま2010プラン五カ年計画」に盛り込んである。介護保険実施のための複合機能を備えた地域拠点をいち早く制度化した。これは「全国のトップを切っているはず」(徳田文男横浜市介護保険準備室課長)だ。
横浜市は痴呆性高齢者を小規模で家庭的な場でお世話するグループホームの整備でも国の施策を先取りしている。