誰もが体内に毎日がん細胞を発生させている
堀田 「笑いががんに効く」という先生のお話、とても興味深いですね。心の状態と病気は密接な関係がある、そうした研究が今ではずいぶん進んでおられて。
伊丹 たとえば精神腫瘍学(サイコオンコロジー)、心や脳の働きががん治療に関係するという学問ですとか、こうした研究に取り組む人が世界中で増えてきています。おそらく二一世紀には先端的テーマになると思いますよ。
堀田 日本は今、将来に希望が持てない社会で、高齢者の方も日々の老後の生活にとても不安を感じておられますね。人間として心豊かに生きるには身体だけでなく精神面のサポートも同じように重要だと私どもも常に主張して活動しているんですが、今日はぜひいろいろとお教えください。ところで、体内で毎日少なくとも三千個ものがん細胞が発生しているなんて驚きですが。
伊丹 みんなの体内にそれだけの数で発生しているんですよ。
堀田 若くて元気な人でも ? 何か背筋が寒くなりますねえ。
伊丹 ギョッとするでしょう(笑)。最近よくいわれるDNA、ここにがんを発生させるがん遺伝子が存在しています。ただもともと遺伝子の多くは、眠ったままで活動していません。がん遺伝子もそうなんです。
堀田 つまり、できるだけ目覚めさせないようにしないといけない。そこに個人差が出てくるわけですか。
伊丹 (うなずきながら)がんになる人ならない人、治る人治らない人、いろいろおられますよね。その大きな鍵を握っているのがナチュラルキラー細胞です。ここ二〇数年の世界の研究でわかってきています。(本を広げて)ちょっとこれを見てください。
堀田 これが細胞ですか ?