寄稿 ここが問題
「生活用具」、さらに「共用品」へ
介護保険制度と福祉用具の役割と課題
通商産業省 医療・福祉機器産業室長 荒木由季子
介護保険がスタートすると福祉用具のレンタル・購入費にも保険が下りる。お陰で“日陰者”扱いされがちだった介護・福祉機器が脚光を浴びはじめた。これをチャンスに福祉用具をお年寄りの自立と社会参加を促す「生活用具」として、その積極的な役割を見直そう―と荒木由季子医療・福祉機器産業室長は呼びかける。(編集部)
●フィンランドに見る福祉用具の役割
私は今年一月、フィンランドを訪れ、いくつかの自治体やNPOの運営する高齢者施設や高齢者向け住宅を視察した。北欧型高福祉国家モデルとしてあまりに有名なスウェーデンやデンマークに比べると、フィンランドの福祉制度は日本ではあまり知られていないが、この国は一九九〇年代初頭の深刻な経済危機をきっかけに、思い切った医療・福祉制度改革を断行した。