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「何か困ったとき、この仲間なら助けてと言える。それが友達」と語る。電子メールという手段によって、今までよりもさらに密な関係がつくれるようになったともいう。

もう一人、渡辺康二さん(二九歳)は電通の営業局勤務。早稲田大学でサッカー部に所属していたというバリバリの体育会系。同期の友だちには、プロのサッカー選手もいる。

「やはり、サッカーの仲間はプライベートな付き合いの中では一番大切にしています。サッカーを通して出会う人々や、電通という肩書以外で自分を大切にしてくれるネットワークを大事にしたいと思っています」

サッカーというスポーツは、プレーしている間は先輩も後輩もない。これがおもしろい人間関係をつくっていく。言葉ではなく、プレーでわかり合えることがあるという。また、仕事で出会った人とのネットワークも広げていきたいと考えている。

「人と仕事の上でしか時間が持てないというのはすごく寂しいし、もったいない。そんな人とも友達になってしまえば、仮に定年になってからもプライベートに付き合うことに何の支障もないと思います」

日々の生活に何の不安もなく、仕事でも充実した毎日を送る若い世代では、そのネットワークに「支え合う」という意識はあまり見えない。インタービューに応じてくれた三人の答えは微妙に違っているが、概してサラッとしている。しかし、この年代ではある種当然のこと。いずれ彼らが年を取り、何らかのサポートが必要となったとき、今のネットワークはどんな支えとなっているだろうか。

 

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(写真上から)

太田さん、加納さん、渡辺さん。仕事に忙しい世代だが、プライベートな友達とのつながりも大切にしている。

 

 

 

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