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巻頭言

 

二一世紀におけるNPOの役割

さわやか福祉財団理事長 堀田力 No.26

 

日本経済は、いま、先が見えない。

小渕総理が、道を開くべく知恵を問うた経済戦略会議(樋口廣太郎議長)は、自由競争による活力の回復という答えを出した(本年二月二七日答申)。小さな政府を目指す方向である。

たしかに、日本経済が行き詰まったのは、政府が企業を規制によって囲いに入れ、税金で補助して育成に励んだ結果、企業が甘えの体質になり、国際競争力と活力とを失ってしまったためである。だから、この際囲いをはずして世界の競争にさらし、自分の頭と脚で歯をくいしばって道を進ませることにより、日本経済の活力を回復しようという答えは、正しい。

問題は、その戦略を進めるときびしい競争から落ちこぼれる人が増えるということである。この点について経済戦略会議は、「持続可能で安心できる社会保障システムの構築」などの提言をしているが、その内容は、もうひとつ迫力がない。この高齢化のさらに進む状況の中で、年金や医療、介護などについて「安心できる」財政の仕組みを考えるのは、誰にとっても至難の技なのである。

 

 

 

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