日本財団 図書館


表紙絵から

 

池田げんえい/1946年神奈川県生まれ。日本児童出版家連盟会員。創作『鬼の会』同人。日本デザイナー学院講師。はり絵作家。

 

平成・東海道五拾三次 その52「石部」

 

―目川里さがし―

「歩き」のボクには関係ないはずだがあまりの交通手段の不便さに飽き飽きしてしまって、おもいっきり電車を乗り継いで石部駅に着いてしまった。降りたのは母・子(兄弟)連れとボク。改札口にはおばあちゃんが自転車で迎えている。「遠いところをよく来たね。」回りに自慢気に何回も言っている。その回りってボクだけなのに ? ボクは駅を逆行することにした。このまま先に進んでしまえば何も歩かなかったことになるからである。ケッコウ見晴らしのよい道を30分も歩くと木造2階建てが目についた。石部町教育委員会とある。とても入りやすい雰囲気に中年以上のヒマそうな人たちが数人(失礼!)。早速、目川の場所を尋ねると土地区画整理のために現在は石部地区からはずれてしまったとか。さあて目川はどこだろうとおもむろに地図を広げると、わずかに小さく一つだけバス停にその名を見ることができた。

 

002-1.gif

遠方に三上山と比叡の峯をのぞむ。

 

002-2.gif

目川宿辺り。

 

002-3.jpg

安藤広重絵「石部(目川の里)」

描かれた目川の里の休み所「いせや」は、菜飯と田楽豆腐が名物だったとか。店の前では旅の一行が浮かれている。ここを朝発てば、京都にはその日のうちに到着する。五拾三次も終点が近づいてきたようだ。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION