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「お年寄りだけでなく、障害者の方も受け入れていますから、中には、一年三六五日、安否確認から起床介助、食事作りまでをサポートしているケースもある。それだけに、協力会員の負担も大きくなってしまいますが、その分、学ぶことも多いですね。ある脳性まひの男性などは、"あなたたちが入浴介助の研修をするなら、ぼくの体を使っていいから"と申し出てもくれました。自分が生きていくことだけでも大変なその人が、人のために役立とうとするその姿勢に、私たちはどれだけ励まされたことか……」

また、協力会員には高校生や福祉専門学校の学生などの若い人も多いそうだが、障害者の方々は、こうした若い介護技術が未熟な会員に対しては、自らの体を使って介護の仕方などを指導してくれるとも。そこには、助ける人と助けられる人がいるという一方通行の図式ではなく、できる人ができることをという、相互扶助の精神が確実に生まれつつある。

 

栃木県宇都宮市に本拠地を置く、ケアセンター『人人(にんじん)』は、会員同士が困ったときはお互いさまの心で助け合い、年を取っても、障害を持っていても、心豊かに暮らせる地域づくりをめざして設立された会員制の家事援助介護サービス団体。支援内容は掃除、洗濯、買物、食事作りなどの家事援助と、入浴、洗髪、車イスの介助、通院介助、おむつ交換などの介護援助。会員になるためには年会費3000円が必要で、サービスの利用料は1時間につき900円(交通費は市内無料)。サービスに対する謝礼金は、利用料から運営費20%を差し引いた額。問い合わせは月〜土の午前10時から午後5時まで(→連絡先は最終頁)。

 

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毎年恒例のホテル屋上でのタ涼み会。

 

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車イスの介助も真剣。

 

 

 

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