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また介護保険におけるケアマネージャー(介護支援専門員)の位置付けは「公正中立」であることが義務付けられている。ケアマネージャーはケアプランの作成、要介護認定のための調査員、苦情処理の窓口となり、「自立支援」「利用者本位」を実現するための重要な役割を担わされている。また経営者にとって組織的には部下であるが、制度的には利用者側に立つ専門職だ。つまり、介護保険制度の新しい体質を充分に理解し、利用者にも施設にも信頼のおける中間マネージメントとしてのケアマネージャーを確保することは特別養護老人ホームにとって生き残りのための必須条件であろう。

 

利用者は苦情が言える

 

介護保険では利用者が提供されたサービス自体に不満があるときは苦情が言える。これは当然の権利であるが、措置制度では利用者が施設に対して苦情を言うなど考えられなかった。

苦情を受け付けるのは事業者に介護報酬を支払う機関である国保連合会である。苦情の多い施設には報酬支払いを停止することができ、苦情に対する調査権もある。また苦情処理の直接窓口は身内のケアマネージャーである。ケアマネージャーは利用者からの苦情があれば市町村や国保連合会に届けなければならない。特養の経営者は責任回避しようとすれば利用者からも、部下からも見放されてしまう。よって経営者は、利用者から出された苦情の一つ一つに耳を傾け、丁寧に対応、検証し、今後の運営に反映させなくては施設経営自体が、成り立たなくなる。

 

 

 

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