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桜の下でガーデンパーティ。(『寿楽園』にて、以下同じ)

 

介護施設と利用者やその家族との関係が今までと同じように、つまり福祉施設主導のまま続くと信じている人も多い。しかし介護保険が実施されると利用者は介護サービスの内容を自分で選択することができるのだから、介護についての知識と自分自身の意見を持つようになる。また保険料を負担するのだから被保険者としての権利意識が急速に高まる。今までの関係が続くはずがない。

 

良質の介護サービスを創造する人材育成

 

従来の措置制度は家族介護を前提にしている。すなわち市民が家族の介護に困って役所に相談に行くと、役所では要介護高齢者の置かれている状況などを確認し、家族介護が困難であると判断すれば措置の要件を満たしていると判定し、行政の責任によって国が定めた基準のサービスを提供する仕組みになっている。提供されるサービスの位置付けは家族介護の代替であり、専門性を有したサービスではない。しかし、今後、被保険者となる利用者は、より高度な介護を求めてサービスを選択するようになるはずだ。となると家族介護の代替ではなく質の高い専門サービスを要求するだろう。介護の質がそのまま、介護サービス事業者の実力となり、介護サービス事業者は、品質の高いサービスを提供できる人材を一人でも多く育成、確保しなければこの競争に負けてしまう。ところが優秀な人材の確保ができるかどうかが施設経営を左右するにもかかわらず経営不安から人減らしをはじめた施設もある。

 

 

 

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