日本財団 図書館


「何かすることはない?」とたびたび事務所にやってくる八○歳過ぎの男性にチケット作りの手伝いを頼んだところ、「今日はお父さんがニコニコ顔で帰ってきたんですが、何があったのですか」と娘さんから問い合わせが入ったこともあるという。だからこそ、今後は生活困難な方を支援するだけでなく、高齢者の力を十分生かせるよう、いろいろな形で社会参加の場を提供することも、会の大きな目的のひとつだという。

「花見や県庁見学などにみんなで出かけるのもいいし、勉強会や行事などにもどんどん参加してもらいたい。また、子供たちにもボランティア活動ができる場を準備し、お年寄りが愛され、尊敬される存在であることを再認識させたいとも思っています。ひいてはそれが、心豊かに暮らせる家族的なふれあい社会づくりにつながるとも思いますからね」

できることからコツコツと、そして確実に実績を積むことで、徳島にボランティアのやさしい愛の輪を広げていきたいと、熱い思いを語る麻野さん。『さわやか徳島』でまいたやさしさの種は、もう小さな双葉を付けはじめている。

 

034-1.gif

大勢でにぎやかに食欲もすすむ。

 

徳島県板野郡藍住町に本拠地を置く『さわやか徳島』は、ノーマライゼーション(誰もがどこでも普通の生活ができる)とQOL(生活の質の向上)の理念のもとに、地域で暮らす誰もが、いつでも支援ややさしさを求めることができ、安心して生きていくことや、人間らしい生活が送れる。そんなふれあい社会づくりをすすめていくことを目的として設立された会員制の在宅介護支援グループ。支援内容は生活困難介護から死への看取りまでで、24時間体制。会員は家族単位で入会し、入会金5000円、年会費3000円。在宅サービスを受けるに当たりチケットの購入が必要で、1時間につき1点で600円。サポート提供に対する謝礼金は1点500円(100円は事務手数料)で、提供した時間を貯蓄する時間預託制度も取り入れている。このほか、月1回の勉強会とデイサービスも開催。また60歳以上の会員を対象とした『さわやかシニアの会』もつくっている(→連絡先は最終貢)。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION