推進室を発足させるに当たっては約一年半の準備期間を置き、組織をじっくりと固めたそうだ。全国一六か所(発足当初は一四か所)にボランティアコーディネーター(兼務)を置き、情報を収集・発信したり地域独自の活動を展開するための拠点とした。さらにコーディネーターと本社で構成されるボランティア推進委員会(委員長は松本さん)を設置し、四半期に一回程度、直接情報交換・意見交換を行う。またボランティア情報誌『ピュア』を隔月に発行し、ボランティア情報、独自にボランティアをやっている社員や家族の話題を載せているという。最近はEメールでの情報収集・提供もはじめたそうだ。社員に無理強いすることなく、「やってみようかな」という気が起こるような情報を発信してきっかけづくりを手伝う。ボランティアは会社に言われてするものじゃないという気風もまだあるが、「醸造メーカーですからね。じっくり待ちますよ。手応えも感じられるようになってきました」(萩原さん)。
こうした若い担当者の後ろをがっちりと支えるのが松本さんだ。野田JC(青年会議所)の理事長を経験し、地域に密着した活動が身に付いているとお見受けしたが、「今はむしろ若い人たちから学んでいます」と目を細める。
会社の理念を常に全社員に発信し、自発的活動を促す…。キッコーマンの活動は今後ますます熟成されていくに違いない。