企業ボランティア
全国16か所に拠点としてボランティアコーディネーターを設置!
―ボランティアの種をまいて熟成を待つ
キッコーマン株式会社
●活動に光る若い感性
「地球社会にとって存在意義のある企業に」これはキッコーマン株式会社茂木友三郎社長が、一九九五年三月、就任に当たっての所信の中で掲げた経営方針である。日本が世界に誇る調味料、しょうゆを江戸時代から作ってきたしにせの、時代に先駆けるスローガンだ。この経営方針に基づき九七年六月に発足した社会活動推進室に、担当部長の松本伸一さんと、若さで活動をリードする萩原透さん、三宅典子さんを訪ねた。
食品を扱うメーカーとして、「食・健康・国際交流」が貢献活動の鍵である。そして合言葉は、「できることからはじめよう」。これまで、使用済み切手・力ード収集箱「ちょこっと君」の設置、チョコレートをあげる代わりに募金をと呼びかけるバレンタインチャリティ募金など、誰にでも気軽にできるボランティアを提案してきた。その他、「食・健康・国際交流」にちなんで「地球家族のディナーショー」を企画するなど、活動に若い感性が光る。そのせいか「二〇代の若い社員の協力が多く、第二回目のディナーショーの時には企画、運営も担当してくれました」と三宅さん。ボランティアを重いものと受け止めず気軽に参加する若い人たちの姿がうかがえる。
●情報提供に力を入れてきっかけづくりを手伝う
このようにちょっとしたきっかけで社員がボランティア活動に目覚めてくれることを推進室では期待している。「やる、やらないは全く自由。私たちは種をまいているつもりです」と語る萩原さんは、たくさんの人に支えられて寝たきりの祖母を介護する母の姿を見ながら育ち、また個人的にも常に社会活動に参加してきたが、ボランティアは自発的な意志でやるものという思いから、会社を挙げての貢献活動に対しては懐疑的だったという。しかし、推進室発足時、全社員に行ったアンケートの結果から、社員が想像以上にボランティア活動への関心を持ち、実際に活動している社員もたくさんいること、さらにやりたいが一歩を踏み出せない社員もいることを知り、役割を実感したという。