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行政で推奨するグループホーム

 

一方、こうした個人のさまざまな意向に加え、行政側の思惑もある。 従来の特別養護老人ホームや老人病院といった大型施設重視では超高齢社会を乗り切れないと悟り、在宅福祉を重視したシステムづくりを急ピッチで進めている行政にとっても、グループホームはなかなか利便性のあるものなのだ。広い土地を手当てして箱ものを建てる必要もないし、互いに自立した生活は、寝たきり予備軍の減少にもつながり、いずれも財政的に大きな負担軽減となるからである。

一九八七年度より建設省と厚生省は共同でシルバーハウジング・プロジェクトを推進。高齢者仕様が施された住宅の建設については建設省、入居者に対する生活相談等を行うライフサポートアドバイザーの派遣など生活支援に当たる部分を厚生省が支援することを決定した。また、一九九八年には、高齢者向け優良賃貸住宅制度も制定されている。

一方、もっと直接的に高齢者同士のふれあい、助け合い、共生を念頭に置いた新しい取り組みが、厚生省で九六年度から実施されたグループリビング支援モデル事業だ。

グループリビングを「高齢者が加齢による身体機能の低下を補うため、互いに生活を共同化、合理化して共同で住まう一定の居住形態」と定義し、これからの高齢者の住まい方のひとつとして位置付けた。そしてグループリビング事業を実施する市町村を通じて、初年度のみ国より二〇〇万円、都道府県より二〇〇万円、計四〇〇万円を上限に支援を行っている。本年度からは、これを本事業(グループリビング支援事業)として、初年度だけでなく継続的に支援していくことが決定している。ただ、残念ながら、「申請件数は非常に少ない」(厚生省老人福祉計画課)そうで、市町村レベルヘの浸透の立ち後れがまだまだ伺える。

 

 

 

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