自分の思いを作品に残したいと、創作に専念
そんなピカさんに転機が訪れたのは九七年の二月。勤めていたバーが閉店することになり、職を失ってしまったのだ。
「オーナーからは系列の居酒屋の店長にならないかと持ちかけられましたが、これまでは深夜までの仕事が続き、じっくり創作をする暇がなかった。でも、もう五〇歳も過ぎて、自分の人生にはもはや金もうけも出世もない。ならば、夢を追いかけて、今死んでも悔いを残さない作品を残したいと思いましてね。それで、一念発起して創作活動に専念することにしたんです」
こうして、貯金を食いつぶしての創作の日々がはじまった。まず、考えたのは等身大の人間紙芝居。だが、これはアイデア倒れだった。そうしているうちに、あっという間に貯金は底を突いてしまう。でも、ここでやめるわけにはいかないと、息子の貯金も取り崩して活動を継続。こうして苦難の末に生まれたのが、顔面紙芝居だ。