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ただ、これまでは、特に高齢者を支援する社会の仕組みがあまりにも遅れていたため、私たちは、まず、高齢者支援のボランティア活動を進めるところから活動をはじめた。私たちが活動をはじめてから、行政の方の仕組みづくりが大きく進展し、明年の四月から公的介護保険制度が発足することになった。これによって、高齢者の身体の安心が確保されるから、日本の低福祉は、中福祉まで進歩すると、私は辛口の評価をしている。この中福祉を高福祉にするのが、家族やボランティアによる、心の安心の確保である。そういうボランティア活動を、二〇〇五年までには、公的介護保険同様全国津々浦々に広めたいというので、わが財団の面々が精力的に活動してくれている。

それは、大それた目標であり、その目標を実現するのは大変なことなのであるが、それがわが財団の最終目標というわけではない。最終目標はあくまでふれあい社会の実現である。ふれあい社会というのは、世代を問わず、地域社会に住むすべての人が、自然にふれあい、助け合う生き方、暮らし方をしている社会である。私たちがまず高齢者支援のボランティア活動をはじめたのは、まず必要度の高いところから助け合いの活動を組織的にやることにより、ふれあい、助け合いの心を地域の人々に広げていきたいと考えたからである。そして、その効果は、着実に生まれていると実感している。

そういう活動と並んで、私たちは、昨年から、ふれあい型グループホームの普及活動をはじめたが、これも、もちろんふれあい社会を築くことが目標の活動である。

そして、わが財団は、昨年一年かけて、「近隣型ボランティアのあり方検討会」を開いた。座長には、この分野の第一人者(というか、日本ではただ一人しかいない専門家)である木原孝久さんの出馬を仰ぎ、ふれあいの心も知恵も経験もそれぞれ十分な方々に委員をお願いして、このむずかしい課題を深く掘り下げてもらった。木原座長には、そのエッセンスを前号から連載していただいている。

 

 

 

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