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たとえば、本誌一月号で紹介した富山県の『にぎやか』の場合は、「公的施設では、管理的になってしまい、利用者のニーズに合った柔軟なサービスの提供ができない」と感じた元施設の職員が開設したデイケア施設だし、『さわやか福祉ネットワークみえ』の場合は、地域住民が「老いても安心して過ごせる場」を追求した結果が宅老サービスとなったといった具合だ。このほか、痴呆性高齢者の家族が、自らの介護経験を通じて宅老所の必要性を感じ、開設したケースもある。

そして、運営方法もそれぞれによって異なる。たとえば開所日ひとつをとっても、『さわやか福祉ネットワークみえ』のようなボランティア活動を基本とするところでは、月一〜二回、あるいは週一〜二回など、参加するスタッフが対応できる範囲で活動しているところが多い。その一方で、介護福祉士やヘルパーといった資格を持つ職員を雇い、居住やショートステイを含めた週七日対応のところもあるし、開所時間にしても一回当たり五時間程度から二四時間対応型のものまである。また、ヘルパー派遣や配食サービスなど家庭介護を支援する役割も果たしているところもある。こうした民営のデイサービスにはいくつか類似の特徴があるようだ。『全国デイホーム・宅老所・グループホーム案内』(筒井書房)によると1]地域化、2]小人数化、3]建物の小規模化、4]家庭生活化、5]個別化、6]多機能化が挙げられている。

同書によると、まず1]の地域化では、地域とのかかわりが疎遠になりがちな大規模施設とは違い、民営の場合は地域の中の一つの家として、地域との関係をもっているということだ。利用者もスタッフもボランティアも顔見知りであり、農村部などでは、近隣の農家から野菜が届くなど、多様な形で地域からの支援も受けている。

2]の少人数化は、互いになじみ合えるくらいの少ない人数の高齢者とスタッフで運営されているということである。

 

 

 

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