加藤 マスコミではよく「役人はだめだ」とたたかれますが、私は日本の役人の多くは、基本的にまじめで良くやっていると思っています。お国のために、という感覚は十分にあるんですよ。ただ問題は、彼らが思う国のためと実際の国民のニーズがずれてきているということです。
堀田 まさにそうですね。
加藤 星野英一さんが「公益国家独占主義」と言われていて、非常にうまい言葉だなあと思うんですが、公益というのは、本来、官僚が仕切るものでも、国が独占すべきものでもないんです。
堀田 国の官僚は公益とは国の利益、国益だと考えます。だからそれを認定できるのは自分たちしかいないと。でも、NPOの意識からすれば、公益というのはもっと身近な市民、住民の利益であって、国の利益という発想はないんですね。身近な社会、地域の問題をみんなのために何とかしていきたい。それをすることが役人にとっても大切なことであり、我々もそのために税金を払ってるんだと思っているのです。そして、日本国中同じ問題があるだろうから国はそれをきちんとやるべきで、地域の利益を積み重ねていったトータルが、国益といえば国益だという認識です。この違いが、まず国のほうから考える役人や政治家にはわからない。
加藤 外交、安全保障のような国全体にかかわることでも、国がめざすところと住民の思いにはさまざまな違いがあって、ましてや福祉、環境、教育など一人一人に関わることには、もっと違いがあります。