はじめに
我が国における情報通信基盤の進展によって、国・地方公共団体間さらにはこれらと企業、国民との間にも、インターネットの普及等に伴う情報流通促進の環境が整備されつつある。
国の機関では、霞が関WANによる省庁間の情報流通の円滑化、共通データベースの相互利用が進められ、地方公共団体においてもそれぞれの情報化の進展に加え、住民基本台帳ネットワークや自治体間の総合行政ネットワークの構築が進められようとしている。
一方、国の行政情報化は、平成9年12月に改定された「行政情報化推進基本計画」に基づき着実に進められつつあるが、特に今回の改定計画においては、情報通信技術の活用による行政サービスの向上に重点が置かれ、その目標の一つに、一度ないし一個所の手続で関連する複数の手続の処理が可能となる、いわゆるワンストップサービスの推進があげられている。
ワンストップサービスの実現はもちろん一挙になしうるものではなく、それぞれの処理のケースに応じて段階的な実現形態が考えられるが、一つの事例として、国民の住所変更に伴う国や地方自治体等の既存住所データの一括更新サービスが実現すれば行政及び国民の双方にとってのメリットは大きい。
国の行政機関では、現在、このような住所変更のワンストップサービスについては検討されていないが、各省庁において電子申請・届出の促進に伴うアプリケーションの構築や連携が進められつつあり、また、地方公共団体においては住民基本台帳ネットワークシステムによる転出入手続のワンストップ化が図られようとしている。
我が国の情報通信基盤の進展と国・地方のこのような動きをみれば、住所変更ワンストップサービスも近い将来具体化するものと考えられる。しかし、各機関が所管する住所データをワンストップサービスで更新するためには、関連するアプリケーション間のネットワーク化や標準化、制度・システムの構築等々課題は少なくなく、国・地方を通じてそのための方策を検討することが必要である。
このような状況を踏まえ、本調査研究では、諸外国のワンストップサービスの動向にも注目し、情報技術を活用した国・地方を通ずる住所変更ワンストップサービスを具体化するための技術的・制度的課題を検討し、運用上の解決方策を取りまとめることにより、行政情報化の推進と行政サビースの向上に資する。