第9章 救命・応急措置
普通に日常生活を送っている人が、突然急変したり職場における災害等に遭遇した場面において心肺蘇生法や応急措置等が必要となることがある。現場での処置を行うに当たっては、まず被災者の傷害の程度がどの程度のものであるかを冷静に判断することが大切である。救急処置には救命処置と応急処置があるが、それぞれ一般には次のように定義されている。
救命処置とは、生命が危険な状態で、緊急の処置を必要とする人に対する一次的な救命法(医師、看護婦、救命士以外の現場に居合わせた一般の人でも行っていい手当)をいう。
応急処置とは、数分間で生命が危険にさらされることはほとんどない状態で、怪我や病気の状態の悪化するのを防いだり、呼吸や痛みを和らげるような手当をいう。
ここでは、医療機関を受診するまでの現場での処置について述べる。
9.1 人が倒れた(倒れている)とき
まず倒れた人の生命が危険な状態にあるかどうかを判断することが大切である。
9.1.1 直ちに救急車を呼ぶ場合
1] 意識がない。
2] 手足が動かない。
意識はあっても、自分では手足を全く動かせない場合。
3] 大量の出血がある。
9.1.2 救急車が来るまでに行うべき処置(心肺蘇生法)
「呼吸が止まってから、人工呼吸を始めるまでの時間と生命を救える確率」(図9.1.1)をみると5分たつと25%の人しか救えないが4分後では50%、3分後では75%、2分以内に人工呼吸を行えば約90%の人を救命できることを示している。