日本財団 図書館


第8章 酸素欠乏症及びガス中毒等の災害の防止

 

危険有害場所には通常安全衛生標識が設けられているが、それは危害というものは、目に見えないこと、気が付かないことが多いためである。例えば、上を向いて歩く人は少ない。高いところで修理をしていて、何か物が落下する危険があっても、下の通行人は知らないのが当然である。一酸化炭素ガスや酸素欠乏空気は無色、無臭で、普通の大気と見た目では変わらない。だからその危険を標識で教えることになる。

ということは、それらの標識があれば自分勝手な判断で行動してはならないということである。自分の目で見える範囲の状況や見た感じだけで判断しても、その判断を超えた危険因子が潜んでいる。このように標識があるところはもちろん、ないところでも危険場所の周辺では用心すること。

 

8.1 酸素欠乏

酸素欠乏空気等は、いわゆるガスでないだけに、思いがけないところで遭遇する。金属のさび、どこにでもいる細菌類、植物等、身の回りの多くのものが酸素を吸い取る危険があるため、換気不良の閉鎖的(タンク及び各種送受波器用レセス等)、半閉鎖的な場所は特に注意が必要である。

 

8.1.1 酸素欠乏の原因

その原因を大別すると次のとおりである。

1] 空気中の酸素の消費

2] 酸素含有量の少ない空気の噴出

3] 窒息性の気体(メタン、窒素、炭酸ガス等)による置換

酸素濃度と障害程度の関連は、次頁の図のようにいわれている。

 

災害の内容を検討すると、次の共通した原因をあげることができる。

1] 換気しなかった。

2] 換気をしていても、それが十分でなかった。

3] 酸素濃度を測定せずに酸素欠乏の場所に立ち入った。

4] 救助者が空気呼吸器等を着用せずに救助しようとした。

5] 管理監督者・作業者が酸素欠乏防止の知識を生かしきれなかった。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION