なお、図2・15のトランジスタの記号中PNP形とNPN形の区別は、エミッタ・べース間に順方向電流が流れる向きにより、PNP形ではエミッタからべースに向かった矢印で、NPN形ではその逆の矢印で示されている。
2・3・3 トランジスタの特性
主に規格表に示される、トランジスタの特性をあらわす定数について以下に述べる。
(1) 電流増幅率
トランジスタの回路には図2・19に示すように、べース接地、エミッタ接地、コレクタ接地の三つの接地方式がある。エミッタ、コレクタ・べース、に流れる電流をそれぞれIEICIBとすると、図2・17からわかるように、これらの間には次の関係がある。
IE=IB+IC
べ一ス接地回路で、IEのうちICとなって流れる電流の割合をべ一ス接地の電流増幅率といい、αまたはhFBで表す。すなわち
α=hFB=IC/IE
の関係がある。
またエミッタ接地回路では、ICとIBの比をエミッタ接地の電流増幅率といい、βまたはhFEで表す。すなわち
β=hFE=IC/IB
の関係がある。
このとき上の三式からαとβの間には次の関係があることがわかる。
β=α/(1-α)