4・5 送受信部の点検整備
新設時および定期の点検整備要領
主として送受信機の変調部と高圧部を中心に、次の項目の点検整備を行う。
(1) 各ユニットの汚れは乾いた布で清掃する。特に通風口やフィルタは綿ごみ等で目詰まりを起こしやすいので、電気掃除器で吸い取るかあるいは吹き飛ばしながら柔らかい布や羽毛、筆等で清掃する。
端子板や部品密度の高い部分および高圧部のごみも入念に取り除き、汚れているところは四塩化炭素やアルコールでぬぐう。
(2) 高圧部の配線の被覆に破れや焼け焦げはないか。
(3) 送受信部のパルス幅切替え用などのリレー接点に汚損や焼損その他の異常がないか。
(4) ファンモータの取付けや、ねじに緩みなどはないか。
(5) 立体回路の取付けや、ねじに緩みなどはないか。
(6) チェックメータの指示値を常に観測し、異常の発見に留意すること。
(7) マグトロンとTR管は通常1,000〜2,000時間、ART管は通常2,000〜3,000時間を使用期間の目安として、早めに交換することが望ましい。
マグネトロンは強力な磁石が付いているので、帯磁を嫌う腕時計や金属、航海計器などを近づけないように注意すること。永久磁石付きのマグネトロンは外部へ磁力線が漏れていることが多いので、電気計器や航海計器から5〜100mm(小形マグネトロン)又は300mm(大形マグネトロン)以上離して、かつ落下させないように確実に保持し、保管すること。
マグネトロンの取付け、取外しにはステンレス製のスパナとドライバを使用し、取付けねじも、しんちゅう製のものを使用すること。
マグネトロンを交換して、初めて動作させるときには、30分間ぐらい予熱をしてから使用するようにしないと、カソードが破損して寿命が短くなる。
使用時間の積算時間計が付属している機器では、マグネトロンを交換したときに時間計の指示値を、積算計がない場合は交換年月日をレーダー日誌に記録してもらうこと。
TR管がもし破損した場合には、中に放射性物質(ストロンチウム)が封入されているので、破片等に直接触れぬようにして、ピンセット等の工具を使って処理すること。
(8) マイクロ波ダイオード(クリスタルダイオードともいう。)は強電界、高電圧、機械的振動、衝撃などに弱いので、取扱いは十分に注意すること。