大気の状態が異常なときには水平線の更に下まで電波が伝搬するという状態がある。光学的にはこれは蜃気楼として知られた現象であるが、マイクロ波でも同様な現象がある。例えば、大気の低い気層に温度の逆転層があるときなどで、その大気の層がマイクロ波に対し、ちょうど超長波に対する電離層と同じような効果をもって、図8・13のような導波管型の伝搬をしてマイクロ波が異常に遠方まで伝わる。これをラジオダクト(Radio Duct) と呼んでいる。
図8・13 合成波の位相 図8・14 ラジオダクトによる電波の伝搬
図8・13 合成波の位相
図8・14 ラジオダクトによる電波の伝搬
マイクロ波より更に波長の短いミリメートル波は空中を伝搬するときに空気のうちの酸素と水蒸気によって減衰を受ける。その減衰の程度は一気圧の大気とその大気中に1%の水蒸気を含んでいるときは、図8・14に示すとおりであって、かなり大きなものである。
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