第4章 ダイオードとトランジスタ
4・1 半導体
ダイオードやトランジスタは、半導体と呼ばれるゲルマニウムGeやシリコンSiなどからできている。これらの特性を理解するためには、まず半導体の性質を理解する必要がある。
4・1・1 半導体の定義
種々の物質のうち、電気をよく伝える金属は導体と呼ばれ、電気を伝えにくいガラスや紙などは絶縁物、あるいは絶縁体と呼ばれている。図4・1 に種々の材料の固有抵抗の値を示す。半導体とは導体と絶縁物の中間の固有抵抗値を持つもので、次のような性質を持っている物質を指す。
純粋なものは金属と比べて電気を通しにくいが、微量の不純物を入れると電気を通しやすくなる。
また、温度が上がると抵抗値が減るという現象がある。(金属は温度が上がると抵抗値が増す。)
図4・1 中の物質のなかでゲルマニウム、シリコン、セレンが上の条件を満たし、ダイオードやトランジスタの材料として用いられる。方鉛鉱黄鉄鉱はゲルマニウムダイオード出現以前には鉱石検波器として広く使用された。