1] 直流……導体間又は導体とアース間が50V以下
2] 交流……導体間又は導体とアース間が50V(実行値)以下
(2) 火災や爆発事故の防止
電気機器やケーブルが接地されていないと、非導電金属部の電位が上昇し、近隣の構造物や人体との間でスパークが生じ火災、あるいは引火性ガスの爆発などを引起こす。これを防止する目的で、やはり非導電金属部の接地が行われる。
(3) 落雷による危険防止
FRP船の船体は不良導体であるため、落雷によって電子機器などが障害を受けるばかりでなく、人身事故に至るような重大な事故が起きることもある。
したがって、次のような避雷措置を施す必要がある。なお、詳細については船舶電気装備工事ハンドブック(工事編)の付録「避雷設備」を参照のこと。
(a) 電子機器のアンテナ系の避雷措置
アンテナ系を、切換えなどによって接地できる構造とする。
また、アンテナ系に使用する電子機器の箱体は確実に接地する。
(b) 避雷針
避雷針は船体の最も高い位置に備え、できる限り船体が避雷針を含む鉛直線と60度をなす円錐内に入るようにする。金属製マストについては、避雷針を備えるか避雷用の接地を施す。
(c) その他
甲板や甲板室の頂部などに突出する金属製のものは必ず接地する。
(4) 静電気対策
FRP船は、船体が不良導体であるため、摩擦帯電が生じやすい。船体の一部や構造物のなかに、電気的に独立した金属があると、摩擦帯電により生じた他物体の電荷がこの金属に蓄積され、電位を高めることになる。しかもこの蓄積された電荷の放電が一気に生じ、そのエネルギーも大である。したがって、これによる電子機器への誘導障害も大きく、また放電が人体を通して生じた場合には、人体に有害な電撃を与える。更に、この放電路に着火性のガスが存在すると(例えば燃料タンクの中や近傍で放電した場合)、これへの点火源となって、火災や爆発などの災害を生ずることがある。したがって、金属構造物は、絶縁状態におかれないように接地する必要がある。
(5) 誘導ノイズ障害の防止
電子機器などへの誘導ノイズには、静電結合ノイズと電磁誘導ノイズがある。前者は、機器の入出力信号ケーブルと周囲の電気回路との静電容量結合によって、その信号ケーブルに発生するノイズである。後者は、機器の入出力信号ケーブルが周囲の電気回路によって生じる磁束の変化により、その信号ケーブルに発生するノイズである。