6. 空間識失調の機序解明の研究
東京厚生年金病院
石井 正則
空間識失調の機序解明の研究
東京厚生年金病院 耳鼻咽喉科
石井 正則
東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科学教室
添田 一弘
吉田 茂
森山 寛
東京慈恵会医科大学 生理学教室
航空宇宙医学研究室
須藤 正道
岐阜大学医学部 耳鼻咽喉科学教室
水田 啓介
宮田 英雄
科学技術庁 航空宇宙技術研究所
渡辺 顕
要旨
航空機の飛行中に、気象条件や加速度の変化などにより重力方向の感覚や水平感覚に異常をきたし、空間識失調(いわゆるVertigo*)を発生することが知られている。
この現症は、離着陸時だけでなく、巡航飛行でもおこることが報告されており、ときとして、重大な航空機事故の原因にもつながることがわかっている。そこで、空間識失調の誘発する機序を研究し、その発生過程を追求することにより、空間識失調の予防や対策をたてることを研究目標とした。
研究は、航空宇宙技術研究所(NAL)にある巨大半球ドームとそれに付設されているフライトシミュレータのモーションベースを用いた。全視野をカバーできる大がかりな装置であり、コンピュータを用いて視野入力を変化させた。同時にそのモーションベースのPitch方向の傾斜刺激により平衡機能を変化させて、そのときに発生する空間識失調を傾斜感覚の錯覚・誤認としてとらえることができた。