4. 航空機乗員の血圧変動に関する研究
─トレッドミル運動付加による血圧変動と運動療法の評価について─
東京慈恵会医科大学
細谷 龍男
研究項目:航空機乗員の血圧変動に関する研究
─運動負荷による血圧変動と臓器障害─
東京慈恵会医科大学内科学講座第2
細谷 龍男
徳留 悟朗
家口 慶彦
堀口 誠
林 文宏
小林 英之
内浦 玉堂
要旨
航空機の乗務員において年齢とともに増加傾向を示す高血圧症は重大な問題となっており、これらの高血圧患者の臓器障害(心血管系合併症)の程度を把握することは、乗員の健康管理を行ううえで非常に重要と考えられる。一方軽症高血圧患者では運動療法により降圧することが良く知られているが、すべての症例で同じメニューの運動療法の適応となるかどうかについては未だ明らかではなく検討の余地が残されている。本態性高血圧症患者において微量アルブミン尿は高血圧性心血管系合併症の予知因子となり得る可能性が示唆されている。そこで今回は前年度に引き続きさらに症例を増やし、トレッドミル運動負荷時(TMET)の尿中微量アルブミン動態を観察し、その臨床的な意義について検討した。
正常血圧者(NT群)と顕性蛋白尿を有さない本態性高血圧者(HT群)にTMET負荷を行い、前後の血圧の変動・尿中微量アルブミン(mAlb)動態などを測定し、心エコー所見での左室肥大パターンとの関連性や尿中mAlb動態と循環調節ペプチドの関連性について比較検討した。さらに高血圧患者に薬物による降圧療法を行い、約1年後に同様の検討を行い次の結果を得た。