2. 視覚の加齢変化に関する研究
─加齢変化の新しい検出法ならびに評価法─
東京慈恵会医科大学
北原 健二
視覚の加齢変化─加齢変化の検出法ならびに評価法─
東京慈恵会医科大学 眼科
北原 健二
松崎 浩
神立 敦
西尾 佳晃
高橋 現一郎
要旨
本研究は、各視機能の加齢変化について検索し、視機能の加齢に伴う変化が、航空機運航乗員の業務に及ぼす影響について検討することを目的としたものである。
平成9年度は、動的視野、静的視野(青錐体感度)、視力および色覚の年代別変化について検討し、それぞれ加齢変化がみられることを確認した。
本年度は、航空身体検査として採用可能で、加えてより詳細に視機能の加齢変化が検出される検査法について検討した。検査法として、色合わせ法とコントラスト感度測定法を採用し、それぞれの年代別変化について検討した。色合わせ法には、加齢変化を受けやすい青錐体系反応を検査するMoreland等色1、2)測定法を採用した。また、コントラスト感度は形態覚(視力)の変化をより詳細に検索する方法3-5)である。その結果、色合わせ法では、加齢により変化する傾向は示されものの、年代別に有意差はみられなかった。一方、コントラスト感度では、とくに中〜高周波数領域の感度およびその応答時間において明らかな年代別変化が検出され、加齢変化の検出法としての有効性が示唆された。
以上、これらの視覚の加齢変化の検討は、加齢変化が航空機乗員の業務に及ぼす影響、また航空身体検査における視機能判定法の開発、さらに業務可能な年齢の検討に寄与するものである。