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これは被験者間における騒音下での英語の語音聴取域値の違いだけでは説明できず、雑音により遮蔽された音素を音素間の前後関係から予測する能力の差が影響していると考えられた。

我々はこれまでに正常若年被験者に対して英語語音の測定を行ってきた。しかし、実際には現役操縦士の中に40〜50代が占める割合も多く、加齢による聴力低下が騒音下の英語語音聴取にどのような影響を与えるのかについては未だ不明である。今後は、騒音下における日本人の英語語音聴取特性についての定量的評価を行うと共に、飛行機種による操縦室内雑音の差異や加齢による聴力の低下が英語語音聴取に与える影響についての検討を行う必要があると考えられる。

 

5. 今後の展望

現在運航中の旅客機の操縦室内は、防音対策が施されているとはいえ騒音環境であり、その騒音レベルはB-747機の操縦室内で75〜77dB(LAeq・5分)程度であるとされている(国立音楽大学福原博篤による)。しかし、この他に航空機操縦室内における実際の騒音レベルを測定した結果についての報告は少ない。また、機種によりその操縦室内騒音レベルや騒音の周波数特性も異なるものと考えられる。そこで平成10年度内に、現在運航されている数種の旅客機の操縦室内に同乗し、騒音レベルの測定と操縦室内騒音及び交信音の録音を行った。飛行中の騒音レベルの変化や、機種別の騒音レベルの差異、騒音の周波数特性の詳細については平成11年度に報告を行う予定である。また、今後は録音した操縦室内騒音を用いて、機種別の英語語音の聴取特性の差異についても検討を行う予定である。

 

6. まとめ

1. 正常聴力の日本人に対し、騒音下における英語の語音明瞭度の測定を行った。

 

 

 

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