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初めての出会い

児童相談所の先生と日程、時間の調整をして、児童福祉施設カリタスの園、つぼみ園に二人して出かけました。「実はこの子なんですが」とその子の左足を見せて下さいました。畑で作る山芋がありますが、黒くて、毛が生えていて、コブコブですが、ああいうふうにお尻のあたりから、太股、ふくら脛、足の甲に至るまでなっているんです。家内は思わず顔を背けました、ほんとに愛らしい子なんだけれども、そこだけは実に酷いものでした。

それから一週間ほど面会に通いました。一寸したお土産を持って行ってニコニコ微笑んで抱いて抱きしめて帰ってくる、そうした事を繰り返しつつ我が家の住人になりました。

来た時はもう泣いて泣いて、シッター、シッターと泣くんです、シスターの事です。シッターブー、車に乗せて連れてってくれと泣くんです、それで私は胸の上に乗せて寝ました。又夜中に泣き出したら家内は抱いて外をあっちへ行ったりこっちへ行ったり、そんな事が一週間ほど続きました。そうした中に、警戒心も解けて素晴しい笑みを交せるようになって来ました。

 

 

 

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