施設は今までの生活経験から気が進まなかったし、里親についても前文で書いたように不安がよぎった。けれども、施設の先生から、里親というのは養子になることとは全然違うし施設の生活とは全く異なるとの説明を聞き、一度試しに行ってみようと思い、3月になって藤本里親さんの家を訪問させてもらった。その時の感想は、天理教の教会をやっていることもあり、少し普通の家庭とは違う感じもあったが、生活自体は一般の家と変わらないし、楽しい雰囲気がうかがわれた。結局腹を決めて、4月に入ってから、この里親さんのところで正式にお世話になることとなった。
ここに来て、まず嬉しかったことは、自分だけの個室をもらって生活できるようになったことである。しかし、ここでは部屋や風呂の掃除、犬の散歩、草引きなど、いろいろなことをやらなければならなかった。来たばかりのころは、そんなことをすることが嫌でたまらなかった。施設で生活をしていた時から、こういった草引きなどの作業がすごく嫌いだったのである。「無理やりやらされている」という思いがどこかにあったからかもしれない。