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たとえば、美しいものをみたとき、おいしいものを食べたときには、みんなが素直に喜び、かなしいことが起こったら、一緒に泣ける人になってほしい。そんな心を育てるには、毎日の生活の中でどのようなかかわり方をしていったらよいだろうか。そのためには、一人ひとりの心の奥深くまでかかわりが染みわたり、心が通じ合う生活が必要なのではと痛感し、私は、夫とともに長い間実践に携わった児童養護施設を退職した。そして、上州・群馬の赤城南麓で養育家庭(里親)として生活を始め、丸17年が経過した。その間、私共と生活をともにしてきた子どもと大人は100名余となり、そのうち里子は20名であった。現在は4名の里子がいっしょに暮らしている。

さまざまなドラマを生んで、こうした月日をともにこえて、子どもは育ちゆく。養育家庭(里親)として、17年前、最初の里子として受け入れ、育った4人姉妹の長女が、過日結婚をした。これは、その彼女との生活記録、ある里親の実践記録である。

 

(2) 里帰り、第一声

 

4人姉妹が我が家の里子としてやってきたのは、今からちょうど17年前のこと。長女で小学生6年のA子と、小学4年、2年、幼稚園年長組の妹たちであった。

 

 

 

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