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それから一月ほどして、参観日兼懇親会の日が来ました。私はその日を子供以上に楽しみにしていました。

お母さんは朝早くから来てくれました。忘れていたはずの母親が目の前に立っていたとき、子供は変な目で見ていました。私は大きな声で「うちの子供のお母さんです」と紹介しました。お母さんが「今日は皆さんにあいさつに参りました。私が病気のため今は子供と別れていますが、いつも子供のことは気がかりでした。うちの子供をよろしくお願い致します」と言葉少なに言うと、ほかのお母さん方は静かに頭を下げました。それ以来子供は、自分の母親を意識するようになりました。

3人で食事をしたあと「頑張ってね、K君」と涙ながらに声をかけ、お母さんは帰っていきました。以下に記すのは、それから数ヵ月後に書かれたK君の作文です。

(一回目の作文)

僕にはお母さんが2人います

本当のお母さんと弘前のお母さん

 

 

 

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