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本当に里親さんの家の子になったのだなということを実感させる象徴的なエピソードを伺いました。もうすっかり落ち着いて生活し、施設からきたということを忘れかけた頃、B子さんは突然施設に帰るといいだしたのです。「○○先生が待っているから、帰ってくると約束したから」と言って荷物をまとめます。止めても聞かず仕方なく送っていくからとあとを追っ掛けたそうですがそのショックは大変なものだったそうで、それでも駅までの道を一緒に歩きながらいろいろ考えたあげく、これから行くことを先生に電話するからと駅近くの公衆電話に入りB子さんが行くことを告げました。(実際には施設には電話していません。)そしてB子さんには、電話したら、先生は、施設をやめたのでもういなかったと、B子さんのうちは、里親さんのところしかないことを話し、2人は買物をしながら、また家に戻ったということです。施設に帰りたいとB子さんに言われたとき、感情的になって怒ったり無理にとめたりしないでB子さんの気持ちを受入れながら、とっさの機転でB子さんに里親さんの家こそがB子さんの家であるということをきちんと伝えることができています。

 

 

 

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