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提言がされた後、私共厚生省と致しましても本年1月〜3月にかけまして少子化に関するシンポジウムや、或はポスター、コマーシャル、それから子育てに関する小冊子の作成配布等を行いまして、育児に対する父親や母親の共同責任、共同参画、或は子育ての大切さ楽しさ等を訴えたところでございます。

中でも歌手の安室奈美恵さんの夫のサムさんと、長男のあくと君が登場するポスターにつきましては「育児をしない男を父とは呼ばない」、このようなキャッチコピーが強めで人々の心に訴えるものがあった事から国民の間でも関心を多く集めてかなり大きな反響があった訳でございます。皆様方で御存じの方もおられると思いますが、このポスターにつきまして厚生省にも電話やファックス、或は手紙、インターネット等メディアを通じまして賛否両論の意見が寄せられたところでございます。

大まかにその辺の意見の概要をかい摘まんでみますと女性側からは、男性に対しもっと育児に関わって欲しいという女性の気持を代弁してくれた等の全般的に支持する意見が多かったと思います。但し子育てを終えた中高年層の方々からは、女性がきちっと育児をやるべきという意見も見られました。男性では意見が賛否両論に別れるようでございまして、仕事が忙しくて育児に時間を取ろうとしてもなかなか取れない。或は男は仕事女は育児というのは個々の家庭の方針でございまして国が決めつけるのはおかしいんではないかと、このようなかなり根強い意見もありました。これらが印象でございます。

これらの意見は個々の実体験に基づく最もな意見でございますが、しかし現在、男女共同参画型社会の実現をめざし、又、多くの人々が仕事と子育ての両立を望んでいる現在の社会状況の下では、現実のように男性に較べて女性に育児の負担が片寄り過ぎている。このような状況は決して良くないんじゃないかと思っているところでございます。この他に、中学校や高校の先生からポスターを学校の教材として生徒同士で議論をさせたいのでポスターを送って戴きたい。或は生徒がいろいろ議論したアンケートの調査結果等を送って下さった先生方もおられました。

いずれに致しましても、今回の広報事業を通じまして、男女の世代や、或は意識の相違を強く感じたところでございまして、国民の様々なレベルでいろいろな議論が行なわれ、真剣な取組みが期待されるところでございます。

この有識者会議の提言を受けまして政府と致しましても、今年の5月に総理大臣を含む18閣僚からなります関係閣僚会議が開催されておりまして、今年の年末迄に今後政府が進めるべき少子化対策の基本的な方針を作成する事が申し合わされておりまして、12年度の予算編成の問題と合わせて基本的な方針が作成されることとなっております。又、少子化の対応を国民的な広がりを持って推進する為に経済、労働、福祉、医療、教育、それから学識者等各界の代表からなります少子化への対応を推進する国民会議が、6月30日に設置されまして第1回の会合が開かれました。

会議は宮下厚生大臣が司会や進行を勤める形で進められまして、初めに先程御紹介を致しました有識者会議の座長を努められました岩男委員から有識者会議の提言の概要と問題提起がなされました後、各界を代表する各委員から順次発言がございました。

それぞれの委員の発言等についてちょっと御紹介をできればよろしいんですけれども時間の都合もありますので、例えば、作詞作曲家であります小椋佳さん、この方も委員になっておられまして、この方は普段舞台製作等の創造の場での実体験を通じまして意見を述べられておりまして、いかに子供の生命力がすばらしいか、或は才能がすばらしいかについて、現実の創造の場では子供達や若者から年上の者が教えられる事が非常に多く、21世紀のキーワードは創造性であり、若者の割合を維持する事が非常に大切である。現実に起きている結婚や子育てに関する不都合の解消を具体的に進めていく必要があるというような事を発言されております。

 

 

 

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