六ヶ月毎に経過報告をまとめ、改善点はあったか、何が起きたか、親元に帰ってもいいか、さらにどんなケアが必要かなどを検討する。
3 居住ケア(residential care)システム
(1) 居住ケア(residential care)ユニット
職員24時間体制、最高5人部屋。安全で快適な環境を確保し、何か問題があればいつでもだれか相談できる職員がいる。
(2) 特別寄宿学校
もし普通の学校についていけなければ、特別寄宿学校に行くことができる。職員24時間体制。生徒は授業に出る義務がある。
(3) 安全ユニット
危険な子供や、社会に有害とみなされた子供は、パネルによって安全ユニットに入れられる。その後またパネルによって、居住ケアに移るか、里親の元に行くか決定される。
4 里親の種類
スコットランドの里親制度には、緊急時、短期、長期里親ケアがある。緊急時里親ケアは一日から一週間、短期里親ケアは一週間から六ヵ月、そして長期里親ケアは六ヵ月以上、その後養子になる可能性がある。
5 スルーケアとアフターケア(ケア中とその後の指導)
(1) ケア出身者の統計的現状
1]ケア出身者の74%が国の援助に頼って生活している。
2]イギリスのケア出身者25歳までの30〜40%がホームレスとなっている。
3]ケア出身者の89%が学歴を全く持たない。
4]ケア出身者16〜21歳の50%が失業している。(1994〜1996)
5]ケア出身者19歳までの7分の1が妊娠しているか、すでに未婚の母となっている。避妊知識はあっても、家族愛の欠如から実子を欲しがる傾向がある。
6]ケア出身者38%が犯罪者となっている。
(2) スルーケアとアフターケア(ケア中とその後の指導)の基本理念
ケアを受けている青少年たちが安定し、健全な将来を送れるように、計画的に段階をふんで、独立の準備、支援をする。その全計画段階に青少年側も積極的に参加させる。16歳か17歳でケアを離れて、一人で独立して行くだろうと思うのは、間違いで、独立するまでに必要な知識、訓練、技能の習得をサポートする必要がある。普通の家の子供の様に兄弟や親などに頼ったり助けを求める事が出来ないケアー出身者には、ケアを出た後も十分なサポートが必要だ。特に里親の元に居た里子はたいてい中流階級の家族で育ち、必要な物は与えられ、守られた生活から、突然貧困と孤独の中に身を置くことになる。14歳位から独立のための準備がケアをする側、社会福祉士、本人たちとの協力の元に行われなければならない。
スルーケアとアフターケアを効果的に行うには、里親の元で行うほうがよい。それには以下の理由が上げられる。
・里親だと、社会福祉士や権力者的イメージがない。
・里親だと、里子の好みを良く知ることができる。
・里親は施設より子供との信頼感を築きやすい。
・里親は形式的でない(精神的)サポートが出来る。
・里親の元を出た後も又会って話したりでき、忘れられてしまったという感じがない。
・施設だと孤立し、自分のプランを変えたくても断られる。