◎神を表現する図柄◎
このような具象的な図柄を持つ御幣はほかにも、囲炉裏に用いる自在鈎の図柄をかたどった「釜神」の御幣などと多数みられるが、県内では仙台市から北の地域に比較的多くみられるという特徴がある。また、抽象的な切り込みを入れることによって神々を表現したり、前述の早馬神社の事例のように、年神には五色の色紙を用いたり、複数の御幣を組み合わせて祀る場合もある(写真19])。さらに、仙台市から県南部地域にかけては白の御幣一種類だけを頒布する神職が多く、氏子は同じ形態のものを家の神棚をはじめ、様々な神々に供えるのである(写真20])。この地域の神社の神職が作る御幣は県北部に比較して多様にはみられない。ところが、県南部の天台宗寺門派寺院などでは正月に頒布する御幣が多種多様に作られていることが明らかになっている。