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一方、全国に残っている鳴き砂の浜の位置を見てみると、姉子の浜同様、人家から離れている例が多い。しかしやはり海でつながっている以上、全く影響がないとは言い切れない。少なからず姉子の浜においても影響を表すような現象が確認されている。その例が、合成洗剤の使用の普及の時期が、姉子の浜の最も鳴かなかった時期と重なるということである。

仮説4. 広域的な海洋汚染による影響

姉子の浜は唐津湾の東に位置し、また湾内の海流の向きが唐津市沿岸から二丈町へと向いていることから、唐津市沿岸での海の汚染状況も影響してくると考えられる。また対馬海流や季節風の影響から、玄界灘を隔てた韓国や中国の海洋汚染も影響すると考えられる。近年の傾向としては、近海まで操業してくるこれらの国籍の漁船から投棄されたと思われる発泡スチロールのトロ箱などや、廃棄物などが、漂流物として確認されている。特に鳴き砂への影響が懸念され、また清掃活動などによる排除が難しいのが、このような発泡スチロールの細かく分離してしまったもの、プラスチックなどの合成樹脂製のものが細かく砕け、ペレット状になってしまったものなどである。これらは砂の中に拡散してしまうため、清掃が困難であり、かつ鳴き砂を妨げる不純物として半永久に存在するからである。

仮説5. 生活システム(海との関係)の変化

かつては浜に打ち上げられていた漂流物である茅、竹、小枝などは、生活に必要な燃料である薪として集められ、有効に利用されていた。また打ち上げられた海藻類は乾燥させて、麦畑などの肥料としても利用された。これらの利用活動により、当時はそれほど砂浜に残留する漂流物というのは見られなかったと言うことである。

しかし生活様式の変化とともに、燃料としての薪がガスや電気に取って代わられたことから、その必要性がなくなった。また化学肥料やお金によって購入することのできる肥料を使用するようになったことから、砂浜に打ち上げられていた有機的な漂流物を回収する機会が失われていった。

 

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姉子の浜の漂流物、ゴミ1

 

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姉子の浜の漂流物、ゴミ2

 

 

 

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