それからきちんと伝える。相手のことをよく見るということでしょう。たとえばわかったと言ったときに首が縦に動いているか横に動いているかといったことです。
コミュニケーションのもうひとつの壁は、狭くて柔軟性のない見方です。自分がわからないことについてはわからないままにしてしまうことは、やはり柔軟性のなさということになるでしょう。たとえば自分の思い込みというのはいろいろあると思います。仕事は早ければいいと思っている人がいる反面、ゆっくりでも完璧なもののほうがいいと思っている人、それぞれの価値観の違いをわかっていないととんだ誤解を生じることがある。どんな場合でも全部手抜きをしないできちんと仕上げなければと思ってしまうのに、なかなかその通りにいかない状況が多いときに、そうではない人との間のコミュニケーションがうまくいかないことがあります。
それから、結論にすぐ飛びつく傾向のある方は、早とちりをしやすい。1人でさっさと結論を出してしまう人というのは、どうもコミュニケーションがうまくいかないようです。相手が言っていることをきちんとわかるまでは返事をしないことも大事です。先ほど言いましたように、考える能力というのは話す能力の4倍のスピードで進むのですから、あんまり先回りをしてしまうと、話している人の思ってもいない方向に自分で勝手に判断して事が進んでしまうことがあります。そのへんもコミュニケーションがうまくいかない原因です。
矯正法としては、即座に判断は下さないということです。5本の指を数えてから反応しろとか、反論しろという言葉があります。瞬間湯沸かし器みたいにパッと反応してしまいますと、間違いが生じてしまいます。