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もちろん症状を軽くすることの大切さについても従来にないほどの努力を重ねることを主張し、研究もし、実践したのです。

さて、日本ではまだがんと告知されていない、告知という言葉はいい言葉ではないですが、がんをがんと知らされていない患者さんがかなりいるわけです。また知らせたくない医師もかなりいるのです。それにしてもだんだんと患者さん自身はわかってきてしまうわけです。そのような状態にある患者さんへの慰めは重大だといえましょう。かといって慰めは癒しに至るものなのでしょうか。少なくとも一時ではあっても悲しみをぬぐうことのできるものなのでしょうか。慰めはどんな解決につながるというものなのでしょうか。みなさんと一緒に考えたいと思うのです。

 

包容がもたらす癒し

 

“癒し”については、キリスト教では、「キリストによる癒し」という言葉が聖書にはよく出てきます。「多くの病人が癒された」とか、「足萎えの人が癒された」とか、“癒し”を抜きにしては、キリスト教というのは成り立たないと考えてもよいでしょう。

“癒し”を英語聖書では“heal”と書かれているのが普通でしょう。全部の箇所がhealかというとそうでもなくて、complete wellという語になっているところもありますし、cureと訳しているところもあります。「キリストによって癒された」を、cureとか、

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