IV. ポータブル型超音波診断装置によるメコン住血吸虫症患者の肝臓・脾臓病変の超音波画像上での診断方法への取り組み
大竹英博
松田肇
今回カンボジアのメコン住血吸虫症における肝臓と脾臓病変をフィリピン等の日本住血吸虫症との比較のために獨協医大の医動物学教室所有のポータブル型超音波診断装置(フクダ電子 UF-4000)にコンベックスタイプのプローブ(フクダ電子 FUT-C111A 3.5MHz 60R)とプリンター(Sony UP-890MD)を組み合わせて一式とした検査機器を運び込んだ。また、これらは電子部品であることから空港で他の荷物と共に預けることなく機内持ち込みでカンボジアまでの往復を空輸した。
調査:4月22日にカンボジア入りした後、4月24日にクラチエ省に到着し、サンボク地区において60名(男22名、女38名)に対し、検査内容の十分な説明の後に現地医療技術者による患者の基礎病歴の聴取を行い、検査に同意したメコン住血吸虫蔓延地区居住者に対し、採血と腹部超音波検査を実施した。5月2日にスタン・トレン省に到着し、スダウ、ハンコーセン、カイン・チャム地区において同様の手続きを踏んでスダウ地区では13名(男8名、女5名)、ハンコーセン地区では21名(男10名、女11名)、カイン・チャム地区では45名(男14名、女31名)に対し一連の検査が実施された。
調査地および被験者数:
クラチエ省
サンボク地区
男性22名 女性38名 合計60名(但し1名は採血拒否)
スタン・トレン省
スダウ地区
男性8名 女性5名 合計13名(但し1名は腹部超音波検査拒否)
ハンコーセン地区
男性10名 女性11名 合計21名
カイン・チャム地区
男性14名 女性31名 合計45名