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d) 日野出谷戸

宮野入谷戸と同様に狭山丘陵の南側に位置する谷戸で、下流部は埋め立てられているものの、上流部には一部で自然植生のモミ林が成立しており、コナラ林からモミ林への遷移が進行している地区として注目される。

上流域において2本のベルト(H1区、H2区)を設定して調査を実施した。

 

◇H1区(図I-1-15:植生断面図/表I-1-17:林床・湿地群落組成)

最上流部に設けた調査区で、ベルト長は35mと短い。周辺の樹林はコナラを主体とする二次林にモミが散在する混交林で、調査区の谷底部にも樹高20mを超えるモミが生育している。林床群落の組成は谷底部を中心に両岸の斜面中腹までクマイザサの群落となっており、いずれもSDR89.0以上と高い。このうち谷底部では出現種数が6種と少なく、多様度指数は0.43で斜面林に比べてかなり低い値を示している。

 

◇H2区(図I-1-16:植生断面図/表I-1-18:林床・湿地群落組成)

H1区と同じ上流域の調査区であるが、谷底部には明瞭な水路が形成されている。右岸および左岸はともにコナラ林で、とくに右岸では低木層においてモミが優占している。林床群落の組成は、右岸でアズマネザサが優占し(SDR100)、多様度指数は0.81で出現種数は44種ある。

また、谷底部は全体的にやや湿潤な環境にあり、一部でアズマネザサが目立つほかは出現種数51種で多様度指数も0.86と高くなっている。

 

 

 

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