日本財団 図書館


地方団体は、これまでも福祉、教育、環境保全、産業・都市基盤整備、警察や消防防災等の幅広い行政サービスを供給してきたが、今後、高齢社会の進展に伴い、福祉サービスは質的・量的に、より重要性を増していくものと考えられるところである。こうした全体としての行政サービスが安定的に供給されるためにも、基幹税としての法人事業税の税収が安定化することが必要である。

また、これに伴う財源の負担のあり方を考えた場合においても、先に1(6)で述べたように、その地域社会に参画する者は、決して当該地方公共団体に居住する者だけに限定されない。法人が事業活動を行う場合、その事業が展開される地方公共団体の行政サービスから受益を得ながら事業活動が行われることとなるが、その事業に参画する者は決して当該地方公共団体の住民であるとは限らない。従って、事業活動段階で適切に課税する必要がある。そのため、事業活動を適切に表す指標で課税すべきとする外形標準課税化は、このような観点からもふさわしいと言える。

いずれにしても、今後、外形標準課税に関しては、望ましい外形基準として、地方法人課税小委員会報告で示された4つの類型(事業活動価値(仮称)、給与総額、物的基準と人的基準の組合せ、資本等の金額)を中心に、具体的な課税の仕組みや外形標準課税の導入に伴う税負担変動、中小法人の取扱いなど導入にあたっての諸課題等について、導入に向けた具体的な検討が進められることとなっている。今後、質的にも量的にも重要性を増すものと考えられる福祉サービスも含め地方団体による行政サービスが安定的に供給されるためにも、また地域社会における負担のあり方という観点からも、それに相応しい形での外形標準課税の早期導入が望まれるところである。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION