それとともに、もう一つ特徴的なことは、世帯の構造の変化である。従来は夫婦と子からなる世帯が1985(昭和60)年には40%と社会の中核的な部分を占めていたが、どんどん少なくなり、2020(平成32)年の推計では27%とむしろ全体では少数派となっている。それに引き換え、単独世帯及び夫婦のみの世帯がどんどん増え、2020(平成32)年には過半数を超えるという状態となることが予想される。高齢者世帯の状況も1985(昭和60)年には子と同居というのが一般的であったがこれも減少し現在では50%を切るかというような状況となっている。すなわち、世帯内における無償のサービス提供の機会がどんどん減り、家族機能が崩壊することによって、それが公的サービスに置き換わることが期待されるために公的サービスの増加圧力が強くなってくる。
なお、自治体ごとの高齢化の進捗状況も様々ではあるが、全体としていえば、65歳以上人口の割合が3割を超える市町村は、現在1割弱程度であるものが2025(平成37)年には約6割になるという見込みもあり、地方公共団体の果たすべき役割の増大にかかわらず、その存立基盤が現状のままであれば脆弱になっていくという問題もある。
(2) 少子化の進展
高齢化の進展と併せて、近年少子化傾向が顕著となり、少子社会対策が重要な政策課題となってきた。
合計特殊出生率は1970年代半ばから2人台を下回り低下傾向を見せてきたが、1980年代までの将来推計人口においては2人台の出生率の回復を見込んでいた。しかしながら、1989(平成元)年には1.57人と、それまで戦後最低であった1966年(ひのえうまの年)を下回り戦後最低値となり、その後も低下を続け、1998(平成10)年には、1.38人と人口規模を維持できる水準(2.08)を大きく割り込んでいる。
そのため、0〜14歳人口の構成割合は、1980(昭和55)年まで23.5%であったものが2000(平成12)年には14.7%、2010(平成22)年には14.3%、さらには2040(平成52)年には12.9%となることが予測されている。
これらの結果、65歳以上の人口の割合が3割を超える市町村は、現在1割弱であるものが、2025(平成37)年には約6割となるという見通しもある。