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第一部 少子・高齢社会にふさわしい地方税制のあり方について

 

1 少子・高齢化の進展と地方行財政に及ぼす影響

 

(1) 高齢化の進展

わが国では、1980年代頃から高齢社会に対する取り組みが大きな課題となってきた。高齢社会とは、総人口に占める老齢人口(65歳以上)の比率が高くなっている社会をいい、例えば、国際連合の分類では、老齢人口比率が7%を超えた社会を「高齢社会」としている。

わが国の高齢化の特徴は、出生数の急激な減少や平均寿命の伸長等から、短期間に高齢化が進み、かつ、高齢化のピーク時においてはその水準が欧米諸国よりも高いという点にある。

65歳以上人口の割合が7%から倍の14%に達した所要年数は、スウェーデンでは85年、イギリスでは46年、フランスでは116年を要しているのに対し、わが国では1970(昭和45)年の7.1%から1994(平成6)年には14.1%となり、所要年数はわずか24年である。

1995(平成7)年には高齢化率が14.5%であり、先進主要国と肩を並べる程度の高齢社会であるが、年を追うごとに高齢化の進展が他の先進主要国を追い越していき、21世紀前半には主要国に例を見ない高齢化の水準に達すると予測されている。

国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」によれば、高齢化率は2050(平成62)年には高齢化率が32.3%に達し、3人に1人が65歳以上の者になると見込まれている。

こうした高齢化社会の急速な進展等から、高齢者の介護問題が老後の最大の不安要因として認識されるようになり、それに対する取り組みが最重要課題とされてきた。介護が必要とされる高齢者(要介護高齢者)数は、1993(平成5)年に全国で約200万人であったところから、2000(平成12)年には280万人、2010(平成22)年には390万人に急増すると予想されている。

 

 

 

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