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1 はじめに

 

この事業は、区画整理事業地区内の市有地に15年間の事業用定期借地権を設定し、公募・選定された民間事業者が温浴施設と都市サービス施設の計画・建設・管理・運営を行うものである。

温浴施設については、以前から近接する皇后崎工場のごみ焼却余熱を有効利用して建設できないかとの地元の強い要望があり、公共施設としての整備を検討していたが、採算面の問題から具体化するまでには至らなかった。このほど、ごみ焼却余熱を熱供給事業者と熱のユーザーに分離して利用を図るシステムとし、さらに熱のユーザーには温浴施設に加え都市サービス施設の計画、建設、管理、運営を展開させるなどの仕組みをとることにより、温浴施設の導入が可能になった。

施設の採算性を考慮した結果、民間事業者にインセンティブを与えながら民間事業者の有するノウハウと資金力を導入しようとするものであり、PFI類似事例として紹介したい。

 

2 東折尾地区のまちづくりについて

 

(1) 東折尾地区におけるまちづくりの必要性

事例の詳細説明に入る前に施設の立地する東折尾地区のまちづくりについて触れておく。

東折尾地区は、JR九州管内で乗降客数が第3位の黒崎駅と第4位の折尾駅のちょうど中間に位置している。この両駅から約2〜3kmしか離れていない上に、国道3号線にも近接している非常に交通利便性の高い地区であるにもかかわらず、JR鹿児島本線と約9haもの東折尾貨物駅跡地(清算事業団用地)によって分断されているため、開発が遅れている状況であった。

同地区の状況は、JR線の北側には金属機械工業等の工場が多数立地しており、工業団地を形成している。南側には、JR線に近接して清算事業団の用地があり、その南に市街地がひろがっている。市街地は貨物輸送などの流通業務を中心とする業務施設と住宅が混在する地区となっているが、貨物駅の廃止により近年では流通業務施設がホテルやマンションに転換しつつある。

地元や市議会から、この未利用地において、新しいまちづくりを進めるべきだという意見が出ていたこともあり、東折尾地区区画整理事業とJR新駅の建設にあわせて、周辺のまちづくりを地元とともに検討し、この地区全体の一体的なまちづくりの計画をとりまとめた。

 

 

 

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